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「思考の整理学」
東京から大阪までの新幹線のなかでの時間つぶしに、1986年に出版された、外山滋比古 著「思考の整理学」という本を読みました。
冒頭、「学校の生徒は、先生と教科書にひっぱられて勉強する。自学自習ということばこそあるけれども独力で知識を得るのではない。いわばグライダーのよなものだ」と。
飛行機と違って自力で地面から飛び上がることができないもので、誰かに引っ張ってもらわなければ飛び上がれないことを表している。また、「学校はグライダー人間の訓練所である。飛行機人間はつくらない。グライダーの練習にエンジンのついた飛行機などがまじっていては迷惑する。危険だ。ひっぱられるままにどこへでもついて行く従順さが尊重される。」と続ける。
これこそまさに僕たちが1970年代に受けてきた学校教育そのものだ。
学校で優秀であるということと社会人として優秀であるということは必ずしも一致しないのは、グライダー人間と飛行機人間の違いにあるんだろう。
また、「人間にはグライダー能力と飛行機能力とがある受動的に知識を得るのが前者でじぶんで物事を発明、発見するのが後者である。両者はひとりの人間の中に同居している。グライダー能力をまったく欠いていては基本的知識すら吸収できない。何も知らないで独力で飛ぼうとすればどんな事故になるかわからない。」とも。
学校教育では多くの時間がグライダー人間の育成にあてられている。一部の人間から見て使いやすい人間を作るにはもってこいだが、そから新しいものは、あまり生まれない。
この本では、グライダー兼飛行機のような人間になるにはどのようなことに心がければよいかを考えた本だ。

この本が出版された1980年代と比べると、今の社会はより一層グローバル化し、多種多様化している。
答えや、公式をたくさん覚えて問題解決力の高いグライダー的人間ではなく、解決するための公式が存在していなくても、解決式を発見することのできる自力で飛び立てる飛行機的人間がより一層望まれる。




東大阪大学・東大阪大学短期大学部
東大阪大学情報教育センター

太田研究室


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