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2008,12,15, Monday
僕がノンフィクション作家沢木耕太郎の作品と出会ったのは、僕が高校生だった時だ。
初めて読んだのが「テロルの決算」。 昭和35年10月12日、社会党代議士の浅沼稲次郎を右翼青年が刺殺した。 日比谷公会堂の三党首演説会での演説の最中に、17歳の少年山口二矢に襲撃され、腹部を刺されて死亡した事件。 山口二矢は、誰に頼まれたわけでもなく、自分の意思と責任でテロを決行した。 テロリストとしての山口二矢がこの国をより良くするために殺害すべきだと思い立った浅沼稲次郎も、日本をより良くしたいという信念をもって活動していた人物であり、どちらも日本について真剣に考えていた。 この本を読んだとき、僕も二矢と同じ17歳。 当時の僕は大嫌いだった高校で、テニスとハードロックの毎日だった。 同じ年の山口二矢という人物と浅沼稲次郎について、これほど日本のことを考えている人たちもいるのか、と衝撃的だった。 当時の僕は、社会や教育制度に対して、ぼんやりと疑問を感じながらもそこから逃げ出すことだけを考えていた時に出会った本だった。 その沢木耕太郎の作品との出会いから20年以上、すべて読んでいる。 その中でも何度も読み返しているのが、「深夜特急」だ。 デリーからロンドンまでバスだけで旅行する主人公の物語。 普通の紀行文ではなく、沢木独特の観察力と視点で描かれている。 この作品に触発されて同じルートをたどって旅に出た若者もたくさんいる。 「深夜特急」では書かれなかったエピソードや、旅に出るまでの経緯、デビュー直後の秘話などが描かれているのが、「旅する力」だ。 大学を卒業後、実家を出た僕は大阪に落ち着いて20年。今も僕の街にはなっていないような感じがする。 どこか遠い知らないところを歩いて旅しているような。。。 子どもの頃に育った街を出て、暮らしている人はみんなそんな感じでいるのだろうか。 ■東大阪大学・東大阪大短期大学部 ■東大阪大学情報教育センター ■太田研究室
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